『チ。ー地球の運動についてー』第2章のキーパーソン、オグジーとバデーニ。第2章では、ラファウによって残された「石箱」を通じて出会ったオグジーとバデーニが中心人物となります。彼らは性格や考え方が異なり、しばしば意見が衝突することもありましたが、その軋轢が二人の関係を一層魅力的にしています。
第1章で物語を引っ張ったラファウが亡くなった後、多くの読者がオグジーとバデーニの最終的な運命についても心配しています。驚くべきことに、この二人は物語の終盤で悲劇的にも共に命を落とします。
では、何がオグジーとバデーニに起こったのでしょうか? これには彼らが直面した多くの困難が関係しています。次のセクションで、彼らがどのような経緯で運命を共にすることになったのか、詳細に解説していきます。
- オグジーとバデーニは処刑で死亡
- オグジーの運命と「異端」との出会い
- オグジーとバデーニの出会いとその共同研究
- オグジーの心境変化と新たな発見
- オグジーの決意とバデーニとの深まる絆
- オグジーとバデーニの最終的な運命
オグジーとバデーニは処刑で死亡
オグジーとバデーニは、異端としてノヴァクにより絞首刑で処刑されますが、その最期は決して絶望的ではなかったのです。
死を穏やかに受け入れた理由
彼らは死刑を目前にしながらも、動揺することなく、その運命を静かに受け入れました。
この冷静さの背後には、「地動説は終わらない」という確信がありました。
彼らは、自らの研究が将来の誰かに引き継がれることを信じていたのです。
変わったオグジーとバデーニの心境
かつては自己中心的な考えが強かったオグジーとバデーニも、彼らが直面した試練を通じて変わりました。
死の直前、彼らは自分たちの死後の世界に希望を持つことができるようになり、その心の変化が穏やかな最期を迎えることを可能にしました。
オグジーとバデーニの最後の確信
2人の物語は、彼らが自らの研究と信念を次の世代に託すという形で終焉を迎えます。
この部分は彼らの物語の中でも特に感動的であり、彼らの人生が如何に他者に影響を与え続けるかを象徴しています。
オグジーとバデーニが最後を迎えるまでの人生を以下で紹介していきます。
オグジーの運命と「異端」との出会い
オグジーは20代の男性で、代闘士としての職業に就いていますが、社会からは低く評価されています。
彼は人生に対して非常にネガティブな視点を持ち、救いを天国でのみ見出していました。
異端との意外な出会い
ある日、オグジーは同僚のグラスさんと共に「異端」の移送任務を担当します。移送中、彼らは異端審問官ノヴァクらも同行しており、捕らえられた異端たちは処刑される運命にあったと考えられます。
しかし、その「異端」は絶望することなく、むしろ穏やかに彼らに語りかけます。
異端の説得とグラスの行動
異端はオグジーとグラスに、地球の美しさを認識し直すよう訴え、天国ではなくこの星こそが価値ある場所であることを伝えます。
この説得により、グラスは動揺し、彼らが「石箱」を求めて山へ向かうことを決意します。オグジーはやむなくグラスの行動に同行します。
グラスの事故とオグジーの決断
グラスは事故により命を落とし、オグジーに「希望」を託します。グラスから受け継いだ遺言と「石箱」、そして異端から託された木製の球のネックレスを持って、オグジーは初めて自分の意志で行動を開始します。
オグジーの変化
オグジーの生き方に対する認識はこの出会いと事件を通じて大きく変わります。彼はこれまでの自己中心的な視点を超え、地球という星への新たな理解と希望を持ち始めるのです。
オグジーとバデーニの出会いとその共同研究
オグジーはグラスさんの死後、彼に託された使命を果たすためにバデーニという人物を訪ねます。
バデーニの背景
バデーニはC教が支配するP国の聖職者で、若くしてM修道院の一員となったエリートです。
彼は聡明であるものの、その傲慢な性格と協調性の欠如から周囲に疎まれ、田舎村に左遷されています。左遷前の事件で重傷を負い、視力をほぼ失ってしまったため、日々の生活にも苦労しています。
バデーニの性格とオグジーとの関係
バデーニは他人を見下す態度が強く、すぐに皮肉を言うために人間関係がうまくいかないことが多いですが、オグジーとの出会いが彼の生活に新たな展開をもたらします。
オグジーが持ち込んだ「石箱」の話に興味を持ち、彼を助手として迎え入れ、地動説の研究を始めることにします。
バデーニの変わった行動
バデーニは自身の優秀さを社会に認めてもらいたいという強い自己顕示欲を持ち、そのためにはオグジーをただの雑用係として扱いながらも、共同研究を進めていきます。
彼のこの変わりようは、オグジーとの出会いが彼にとってどれほどの意味を持っていたかを示しています。
オグジーの心境変化と新たな発見
オグジーはバデーニとの出会いを経て、自分の人生観を大きく変えていくことになります。
バデーニとの出会い
バデーニは「石箱」の中身の意味と価値をすぐに理解しました。
彼はオグジーに向けて、地球が天界の一部であるかもしれないという新たな視点を示しました。
この新しい考え方はオグジーにとって、これまでの人生観とは全く異なるものでした。
夜空との再会
バデーニの言葉は、オグジーが夜空を再び直視するきっかけとなりました。これまで彼は天界に見下されていると感じて夜空を見上げることができませんでしたが、バデーニの言葉によってその恐怖心を克服しました。
これがオグジーにとって大きな転機となり、彼の視力を活かして天体観測に没頭するようになります。
ピャスト伯との出会いと影響
オグジーは後にピャスト伯と出会い、地動説に関するさらなる知識を深めます。
ピャスト伯の研究姿勢と彼が残した史料の価値に感銘を受け、自分の人生が誤りであったと悟ったピャスト伯の姿に心を動かされました。オグジーはこの経験を通じて、間違いであっても無駄ではないということを学び、研究の意義を新たに理解しました。
ヨレンタとの対話
オグジーがヨレンタに文字の読み方を尋ねたことで、彼は文字の持つ奇跡的な力を理解し、「本」を書く決意を固めます。
ヨレンタさんの答えはオグジーにとって、過去を超えて未来に影響を与えることのできる文字の力を象徴していました。
オグジーの決意とバデーニとの深まる絆
オグジーとバデーニは地動説の研究を完成させた直後、異端審問官ノヴァクに目を付けられる事態に直面します。
ノヴァクによる追跡
オグジーが過去に「異端」から託された「木製の球のネックレス」が、彼らにとって不運な証拠となり、ノヴァクの疑念を強めることになります。
バデーニは疑惑を逃れるために地動説の史料を焼却しようと決断しますが、これは彼の自己中心的な願望から来る行動でした。
オグジーの成長と変化
一方で、オグジーはバデーニの行動に異を唱え、研究における開かれた姿勢の重要性を訴えます。
彼はピャスト伯が示した「自らの間違いを認める勇気」を尊重し、それが科学的な探求において不可欠であると説明します。
この新たな理解は、オグジー自身の内面の成長を示しています。
オグジーの決断
ノヴァクと異端審問官たちが近づく中、オグジーはバデーニとの議論を経て、自らが進むべき道を選びます。
かつては「早く天国に行きたい」と願っていたオグジーが、「この地球を守るために地獄へ行ける」と宣言し、彼の考え方の大きな転換を遂げます。
バデーニとオグジーの新たな関係
オグジーのこの変化はバデーニにも影響を与え、彼はオグジーに対して敬意を示すようになります。異なる背景を持つ二人が互いに尊敬し合うようになった瞬間は、読者にとっても感動的なシーンです。
この経験が二人の関係をさらに強固なものにしました。
オグジーとバデーニの最終的な運命
オグジーとバデーニは、地動説の研究が完成した直後、異端審問官ノヴァクによって命を狙われます。
バデーニの捕縛とオグジーの決断
かつての裏切りの疑惑により、ノヴァクはオグジーを追い詰め、バデーニも捕縛されます。
オグジーは自らの意思で戦いを選び、一度はノヴァクと斬り合い勝利を収めますが、異端審問官の増援により最終的には捕えられてしまいます。
収監されたオグジーとバデーニの再会
一週間後、オグジーは収監所でバデーニと再会します。
オグジーはバデーニが逃げ切れたと信じていましたが、バデーニもまた捕縛されていたのです。
二人は異端審問官による拷問に晒され、バデーニはオグジーを救うために「石箱」の中身を隠していることを白状します。
絞首刑とその後の終末
最終的に、オグジーとバデーニは絞首刑にかけられます。
彼らは死刑台で最後の瞬間を迎える前に、自分たちの研究が未来にどのような影響を与えるかについて穏やかに語り合います。そして、静かにこの世を去ります。
オグジーとバデーニの遺志
オグジーとバデーニの死後、バデーニが隠していた「石箱」の中身は研究者たちによって保護され、オグジーの「本」は後世に復元されることが決定されます。
二人の遺志は、彼らが夢見た地動説の普及という形で生き続けることになりました。