『鬼滅の刃』に登場する獪岳（かいがく）は、多くの議論を呼ぶキャラクターです。彼は人間時代の裏切りから鬼へと変貌を遂げ、多くの問題行動を繰り返しています。獪岳は自身の行動を正当化し、何をしても自己を責めない姿勢を持っているため、「クズでかわいそうなキャラ」と見なされがちです。
獪岳がなぜ自己中心的な悪役として振る舞うのかは、彼の過去に起因しています。彼の行動は、自らの選択を正当化し、罪悪感から逃れるための心理的防衛と解釈できます。この自己保身の姿勢は、彼がどれほど他人を裏切ろうとも、自分を責めることがないため、観察者には矛盾した印象を与えます。
獪岳の物語は、彼と善逸の間の深い因縁にも触れます。これら二人のキャラクターは対照的で、善逸の正義感と獪岳の自己中心性が激しく対立します。この対比は、物語における善悪のテーマを浮き彫りにします。
『鬼滅の刃』獪岳とは
『鬼滅の刃』に登場する獪岳（かいがく）は、物語における顕著な敵キャラクターです。元は人間、鬼殺隊の隊士で雷の呼吸の使い手だった彼は、自己中心的な思考と行動から鬼殺隊を裏切り、鬼へと転生しました。
基本プロフィール
獪岳（かいがく）は身長は167cm、体重は64kgとされ、彼の趣味は博打。
獪岳は元々鬼殺隊の一員で、雷の呼吸を操る剣士でした。
彼は桑島慈悟郎という元鳴柱の下で修行を積み、同じく雷の呼吸を学んだ我妻善逸とは兄弟弟子の関係にあります。
しかし、ある出来事がきっかけで鬼殺隊を裏切り、鬼へとその姿を変えてしまいます。
獪岳の血鬼術と戦闘スタイル
獪岳の血鬼術は、雷の呼吸の技術を基にしています。彼の斬撃は黒い雷となり、対象の皮膚や肉にひび割れを発生させる効果を持ちます。獪岳は鬼殺隊時代の戦闘スタイルを踏襲しており、刀を用いた戦いを得意としています。特に、雷の呼吸の初歩である壱ノ型を基に、多様な型を習得し、それらに血鬼術を組み込むことで更に強力な攻撃を行います。
獪岳のキャラクター分析
獪岳は、自らの行動を正当化し、自分が行った悪行に対して責任を感じない性格が特徴です。
彼は「クズキャラ」として描かれることが多く、その行動原理は彼の過去と深く関連しています。
この記事では、獪岳がどのようにしてそのような性格になったのか、彼の背景を掘り下げていきます。
獪岳はクズで嫌い！過去とその影響
獪岳は『鬼滅の刃』で描かれる著名な敵対キャラクターで、彼の過去には数多くの暗いエピソードが存在します。
彼が鬼に変貌する前は、人間として鬼殺隊に所属し、元鳴柱・桑島慈悟郎に師事していましたが、彼の行動は後に多くの悲劇を引き起こします。
寺の金を盗んだ獪岳
獪岳の人間性が問われる最初の出来事は、彼が寺の金を盗んだことです。この行動の動機は明確には語られていませんが、貧しい生活から脱出したいという欲求や、彼の博打好きが背景にあるとされています。
しかし、この一件はただの金銭問題ではなく、彼の利己的な性格が如実に表れた瞬間として描かれています。
獪岳の追放とその後の行動
この盗みが原因で、獪岳は寺から追放されます。この際、彼を追放した子供たちは、彼の行為を師匠である悲鳴嶼に報告することなく、彼が寝ていると嘘をつきました。
この嘘が、後に悲劇へと繋がります。
最悪の取引：寺への鬼の招き入れ
追放後、獪岳は森で鬼と遭遇し、自らを救うために最も非道な取引を試みます。彼は悲鳴嶼と寺の子供たちを鬼に差し出すことを提案し、寺に戻って鬼を招き入れるために藤の花の香炉を消します。その結果、悲劇が起こり、多くの無辜の命が失われます。
この出来事は獪岳の人間性を問う重要なエピソードであり、彼の行動がどれほど自己中心的であったかを示しています。さらに、この事件が原因で悲鳴嶼が鬼殺隊に入隊するきっかけとなり、彼の人生を一変させることとなりました。
獪岳の裏切り者の理由もクズすぎる
獪岳（かいがく）は『鬼滅の刃』において、鬼殺隊から鬼へと転じたキャラクターです。
彼がなぜ裏切り者となったのか、その理由について掘り下げます。
桑島との出会いと承認欲求
獪岳は鬼殺隊の一員として活躍していましたが、その心の中には強い承認欲求がありました。
彼は雷の呼吸を操る元鳴柱、桑島慈悟郎に見出され、雷の呼吸の適性を認められます。
この出会いが獪岳にとっては非常に重要で、彼は桑島に認められることを自己価値の証として捉えていました。
雷の呼吸の会得と内面の葛藤
獪岳は熱心に雷の呼吸の修行に励みますが、基本の壱ノ型だけがどうしても会得できませんでした。このことが彼の心に深いコンプレックスを植え付け、自尊心を傷つける原因となります。
一方で、彼の弟弟子である我妻善逸が壱ノ型を会得したことが彼のプライドをさらに打ち砕きます。
鬼殺隊への入隊と鬼化の決断
雷の呼吸の技を多く会得していた獪岳は、鬼殺隊へ入隊しますが、基本型を会得できなかったことから周囲からの評価は厳しいものでした。
この時期に上弦の壱・黒死牟との運命的な出会いがあります。獪岳は生き延びるために黒死牟から鬼舞辻無惨の血を受け取り、鬼に変貌します。彼のこの選択は、絶望的な状況下での生存本能から来たものでした。
獪岳の裏切りは、彼の未熟さと承認欲求、そして雷の呼吸の壱ノ型が会得できなかったことに対する屈辱感に深く根ざしています。
「自分を認めないやつは悪」といった価値観・思考の持ち主である獪岳。相手を認めない自分のことは悪とはいわないあたりがクズと思います。
獪岳の多面的な評価とファンの感情分裂
『鬼滅の刃』において獪岳（かいがく）は、ファンの間で評価が分かれるキャラクターです。クズという意見もある一方、かわいそう、しかたがないといった同情の声もあります。
彼に対する見方は、彼の過去と行動に基づいて大きく二つ「本当の悪者なのか？」「環境のせいなのか？」に分けられます。
獪岳はただの悪者か？
一部のファンは、獪岳が最終的に鬼となったことから、彼の行動を完全に否定的に捉えています。彼の過去がどんなに悲惨であったとしても、彼が選んだ道とその結果により、彼を根本的な悪と見なす意見があります。彼が鬼として人間を襲った事実は、彼の人格や選択を否定する強い理由となっています。
獪岳の行動は環境によるものか？
一方で、獪岳の背景を理解し、彼に同情的な見方をするファンもいます。彼が育った環境、遭遇した困難、そして彼が経験した裏切りや孤独が、彼の選択に大きく影響を与えたと考えられます。これらのファンは、獪岳が自己中心的で他責的な思考を持つようになった背景にある、環境や経験に焦点を当てています。
獪岳の内面的葛藤
獪岳の「自分は悪くない」という考えは、彼の心理的な葛藤を表しているとも考えられます。彼が犯した過ちを正当化しようとする心理は、彼が自己の行いに対する内心の疑問や罪悪感を抱えている可能性を示唆しています。彼の過去を通じて、彼がどのようにしてそのような考えに至ったのかを理解することは、獪岳のキャラクターを深く掘り下げる上で重要です。
まとめ考察
獪岳のキャラクターを通して考えさせられることは、人間の行動や性格が単一の要素によって決定されるわけではないという複雑さです。
獪岳の行動は、彼の過去の経験、特に彼が経験した困難や対人関係における裏切りから大きく影響を受けています。これは、人間が直面する様々な生活の難しさや心理的な挑戦が、その人の選択や行動にどのように影響を与えるかを示しています。
さらに、ファンの間で獪岳に対する評価が分かれる点は、同一のキャラクターでも異なる視点からどのように解釈されるかを浮き彫りにしています。
一部の視聴者は彼の行動を根本的な悪と見なし、一方で他の視聴者は彼の背景にある苦悩や環境の影響を重視しています。
これは、社会的な評価や道徳的な判断が必ずしも単純ではないこと、そして人間が抱える内面の闘争を理解することの重要性を示唆しています。
最終的に、作者は獪岳のキャラクターを通じて、人々が行動を選択する背後には多くの要因があること、そしてこれらの要因を理解することの重要性を強調しているようです。人間の行動の背後にある動機や環境を理解することは、その人物を全面的に理解するための鍵であり、同時に社会的な相互作用や個人的な成長においても重要な役割を果たします。
獪岳のクズっぷりが強調されるのは、鬼滅の刃では凄惨な過去を背負いながらも誰かを傷つけることを良しとはしないキャラたちがいるからこそです。
