『鬼滅の刃』第23巻の最終話（205話）には、嘴平青葉という青年が登場します。この名前と顔立ちから、彼が伊之助の子孫であることは容易に想像できます。それでは、伊之助は誰と共に命を繋いだのでしょうか？
その相手が蝶屋敷にいた神崎アオイであったことが、物語の「完」の次のページで明らかになります。
炭治郎とカナヲ、善逸と禰豆子のように「あの二人はどうなるのかな？」と思わせるシーンがこれまで全くなかった伊之助とアオイ。この二人がカップルとなるまでの共演シーンを振り返り、その経緯を推察してみましょう。
物語の中で、伊之助とアオイの接点は蝶屋敷でのリハビリ訓練を通じて深まっていきました。アオイは伊之助を含む炭治郎たちの傷を癒し、回復の手助けをする中で、彼の本質を理解し、彼の持つ優しさや強さに気づいていったのでしょう。また、伊之助もアオイの真面目でしっかりとした性格に惹かれていったのかもしれません。
物語の最後には、アオイと伊之助が命を繋いだという事実が明かされることで、彼らの関係性が示されています。これにより、読者に対しても、彼らの間に芽生えた絆の深さを感じさせるものとなっています。
このように、伊之助とアオイの関係は、直接的な描写が少ない中でも、彼らの成長と相互理解を通じて築かれたものだと言えるでしょう。
嘴平伊之助と神崎アオイの物語: 『蝶屋敷』
二人の出会い
伊之助とアオイが初めて出会ったのは、伊之助が那田蜘蛛山の任務後に治療のために運ばれてきた蝶屋敷でした。
以後、無限列車の任務後や遊郭での任務後、そして無限城での任務後など、主に伊之助が大怪我を負って治療のために滞在している間に二人は再会していました。
伊之助のアオイに対する印象
伊之助はアオイを「小うるさいチビ」と称していました。
アオイは誰に対しても厳しく指示を出すタイプで、炭治郎は素直に従い、善逸は落ち込むことが多い中で、伊之助は毎回反抗し、二人は頻繁に口論していました。アオイにとって、伊之助は最も手がかかる隊士だったのかもしれません。
アオイの伊之助に対する印象
アオイは蝶屋敷で療養中の隊士たちの世話をしており、忙しい日々を過ごしていました。そのため、特定の隊士に対して特別な印象を抱く余裕はあまりありませんでした。ただ、初めて蝶屋敷に来た際の機能回復訓練では、カナヲの強さに心が折れてしばらく訓練を放棄したり、善逸に対して変な対抗意識を燃やしたりしていました。
「俺は子供の雌を踏んだことがあるんだぜ」と叫んでいた伊之助のセリフをアオイは耳にしており、その印象は決して良いものではなかったようです。なお、この「子供の雌」とは、炭治郎や善逸と初めて出会った鼓の屋敷での「てる子」のことを指していると考えられます。
成長する伊之助
それでも、伊之助はしのぶの挑発に単純に乗り、「炭治郎くんが会得したのは全集中・常中という技です。
これはまあ、初歩的な技術なので、できて当たり前ですけれど、出来ないならしかたないです」という言葉をきっかけに、負けず嫌いの性格を発揮して真面目に訓練に励むようになりました。
お互いが特別な感情を持つようになった瞬間
アオイが伊之助に特別な感情を抱き始めたきっかけ
アオイが伊之助に対して特別な感情を抱き始めたのは、遊郭編の後、またはその任務に出発した時かもしれません。
ただし、これは伊之助だけでなく、炭治郎や善逸を含めた3人に対しての感情です。
アオイの役割と背景
アオイは蝶屋敷で隊士たちのお世話をしていますが、実は最終選別を突破した鬼殺隊士です。
しかし、彼女は戦闘任務に就いたことはなく、自分のことを「腰抜け」と呼んでいます。
遊郭任務に行くことになった経緯
ある日、音柱・宇髄天元が「鬼がいる」と目をつけていた遊郭で、女の隊員が必要だと判断し、アオイを強引に連れて行こうとしました。
しかし、その場に炭治郎が現れ、アオイの代わりに任務を引き受け、善逸と伊之助と共に遊郭へ向かうことになりました。
遊郭から戻った後の3人の状態
3人とも意識不明の重体で戻ってきましたが、善逸は翌日に意識を取り戻し、炭治郎が意識を取り戻す2日前には任務に復帰しました。
炭治郎が意識を取り戻したのは2か月後で、アオイはその報告を受けて病室に駆けつけました。
伊之助が特別視するようになったきっかけ
無惨との戦いの後、炭治郎たちは蝶屋敷で療養していました。ある日、アオイが食事の準備をしていると、伊之助がつまみ食いをしに来ました。
アオイ「あっ また盗み食いして！！」
伊之助「しっ してねぇ！！」
アオイ「口いっぱい詰め込んで 何言うのよ」
伊之助はアオイにすぐに気づかれることに驚き、「もしかして強いのか」と考え始めました。
アオイは伊之助が「ダメ」と言われて素直に従うタイプではないことを理解しており、その対応が伊之助にとって効果的であったことを示しています。
神崎アオイのプロフィール
年齢について
アオイの年齢は推定17歳です。
カナヲ（16歳）より年上であることがノベライズ「しあわせの花」で言及されています。
また、しのぶ（18歳）よりは若いと考えられるため、17歳が最も可能性が高いです。『キメツ学園』でも同じく17歳として設定されています。
身長について
アオイの身長は推定158cmです。カナヲ（156cm）とほぼ同じ高さで、伊之助（164cm）とのやりとりから、160cmより少し低いと推測されます。
伊之助「うるっせーな、引っ張んじゃねーよチビ！！」
アオイ「何ですって！！ たいして変わらないじゃないのよ！！」
家族構成
アオイの家族は鬼に殺されています。
第19巻の大正コソコソ話で「鬼に家族を殺されているアオイやきよちゃんたち」と記されていますが、具体的な家族構成は不明です。
また、苗字が同じで一緒に暮らすことで親近感がわくと思われたのかもしれませんが、選ばれることはありませんでした。
呼吸法について
アオイは『水の呼吸』を使うことができます。鬼殺隊士が全員「呼吸」を使えるわけではない中で、アオイはこの技を身につけています。
玄弥が呼吸を使えないのに対し、アオイが使えることからも、アオイの実力の一端が伺えます。
鬼殺隊同期
アオイは霞柱・時透無一郎と同じ年に最終選別を受けました。
無一郎は剣を握って2か月で柱となった実力者であり、もしアオイが彼の戦いぶりを見ていたとしたら、「鬼殺隊士とはこういう人がなるものなんだ」と感じ、自信を失ったとしても不思議ではありません。
伊之助がアオイの心を掴んだ瞬間
特別なプレゼント
伊之助がアオイに贈ったのは花束ではなく、「木の実の束」でした。山で育った伊之助にとって、女の子に喜んでもらうための最高のプレゼントは「ツヤツヤのどんぐり」だったのです。
無限列車の夢の中でのシーン
無限列車の夢の中でも、伊之助が禰豆子（子分その三）にツヤツヤのどんぐりをあげている場面があります。
伊之助がアオイに渡した木の実の束も、きっとどれも光沢があり、美しかったことでしょう。
アオイの反応と二人の未来
アオイのキラキラした表情や後のエピソードから、この二人の未来が幸せであることが想像できます。伊之助の純粋な思いがアオイの心を動かした瞬間でした。
まとめ考察
伊之助とアオイの関係性について描かれたエピソードから、作者が伝えたいメッセージは、純粋な心の交流と相互理解の大切さだと感じます。
伊之助は花束ではなく「木の実の束」をアオイに贈りましたが、この行動は彼の素朴で自然な感性を象徴しています。山で育った彼にとって、最も美しいものは自然の産物であり、それをアオイに贈ることが最も純粋な愛の表現だったのでしょう。
一方、アオイはその贈り物を喜んで受け入れ、その純粋さに心を打たれました。彼女のキラキラした表情からも分かるように、物の価値ではなく、心のこもった思いやりが最も重要だということが示されています。
このエピソードは、愛や感謝の表現において、高価なものや華やかなものが必ずしも必要ではないということを教えてくれます。
むしろ、相手のことを思いやり、自分らしい方法でその気持ちを伝えることが大切だというメッセージが込められているのです。
また、伊之助が無限列車の夢の中で禰豆子にどんぐりを渡すシーンも、このテーマを強調しています。
彼の行動は一貫しており、相手の喜びを純粋に願う姿勢が描かれています。アオイもその気持ちを理解し、受け入れることで、二人の間に深い絆が生まれました。このように、相手の立場や背景を理解し、心からの行動を通じて絆を深めることの重要性が描かれています。
要するに、作者はこのエピソードを通じて、真心と理解が人々の関係を豊かにし、幸福をもたらすというメッセージを伝えているのだと考えられます。
